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2019/12
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『哀愛傘 -あいあいがさ- 』 (再掲)



おととい買った 小さな傘

ふたりはひとつ傘の下

ポツポツと鳴きながら


傘を持つ僕の右手が

君の髪をそっと撫でた

君のぬくもりが伝わる


雨はずっと止まないけれど

「僕らの上だけ晴れてるみたいだね」って

こっそり呟いた


水たまりを

わざと踏みながら歩いて

子供みたいに笑う 君の頬を濡らさぬように


そっと体を寄せてみた

それとほぼ同時だった

僕らは言葉を失った…




あの時

君は笑ったね。

僕の肩に頬をおきながら

それは僕の鼓動が

うるさすぎたからだって

すぐにわかったよ







風でゆがんだ 小さな傘

君のゆく駅まで僕らを連れていく

雨はすでに上がっている


傘を持つ僕の右手

その上から僕の右手を持つ

あたたかい君の左手


突然君が指をさした

その向こうから 姿を見せたのは

雲間から指す淡い光と

おおきな虹のアーチ

そして

君だけの行く長い線路…



「ここでいいよ」って

君は笑ったね

わかってたんだ。

もう会えないって事



君は傘の下から

外へ出た

さよならを聞きたくないからと

耳をふさぐ 僕の背中に


君は小さく手を振りながら…


















気づけば

窓の外は雨が降っている

時計の針は

午前の10時少し前


今なら まだ間に合う。

そう思ってすぐに

僕は飛び出した


右手に小さな傘を持って…










駅までの道の途中

少し走ると そこに君がいた

傘ももたずに

うつむきながら歩く君の後ろ姿

今が最後と そっと体を寄せてみた


君の上の雨が止んだ



穴のあいた 小さな傘

ふたりは最後の傘の下

ぽつぽつ泣きながら…






「ここでいいよ」って

君は笑ったね


震えた声でわかったよ

本当は泣いてたんだって




「また会えるよね」

僕は笑ったよ


もう会えないって

わかってたのに。






君は傘の下から

外へ出た

さよならは言えないから

最後にそっと握手を交わして




あの時

僕が泣いてたことを

君は知らずに…

















雨はすでに止んでいるけど

「僕の上だけ雨みたいだなあ」

こっそり呟いた



骨の折れた小さな傘

僕はひとり 傘の下



しずかに泣きながら…

















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